以前電話で
「そちらの8ミリのテレシネ方式はフレームバイフレーム方式ですかそれともダイレクトプロジェクト方式ですか」
という問い合わせを頂いたことがありました。口下手で説明に難儀したのこの場で上記の各方式について述べてみます。
※ NTSCビデオのフレームレートは29.97ですが、簡略化のため30とします。
なぜフレームレートが29.97なのかは映像情報メディア学会による解説などをご参照ください。昔にテレビが白黒からカラーに切り替わった時に互換性を維持しながらカラー情報をちょうど良い帯域に重畳した結果29.97FPSになったそうです。
フレームバイフレーム(以下FBF)
これと対立する方式の名称は特に聞いたことは無いのでそれをとりあえず「非FBF」とします。
仕上がりの動画にフィルム同士の混ざった(フレームブレンド)映像が存在しないのがFBFでフィルム状の全てのコマが一枚づつの画像として存在しています。
一例として映写速度を20コマ/sにして、ビデオカメラ(60i)で録画するネットでおなじみのシステム(あとで速度を20->18fps相当、90.09%に調整)の場合、
上記のように60iを30pにした際のフィールド合成が原因でフレームブレンドが発生します。隣り合うコマが(露出は変わらないですけども)多重露光的に重なった映像が動画中に存在しており、フィルムには存在していないフレームが動画中にあることから、非フレームバイフレームになります。60pで録画すれば回避できる症状ではあります。露光時間を1/60以下にして30pで録画したらどうなるかは情報が無いのでなんとも言えません。
ダイレクトプロジェクション
映写動画をスクリーンに投射してビデオカメラで録画すると映像の抜けが悪くなる(具体的にはコントラストが低下し、
かつ色被りが酷くなる)ので、フィルム自体を撮像することでその問題を回避する方法としているようです。
光源の光がフィルムを通り、その像はレンズを通過してCMOS/CCDに到達します。
イメージセンサにフィルムを密着させて録画するわけでもありませんし、フィルムを通過した光はすぐに撮像素子に入るわけではなくレンズを必ず経由するのでダイレクトという表記はしないようにしています。
ということで長くなりましたがフレームバイフレームは時間軸方向での処理方式、ダイレクトプロジェクションは光の扱い方で、二者択一になるような対立をする方式ではありません。
うちの店の変換方式はフレームバイフレームで、かつ上の説明になぞらえればダイレクトプロジェクションということになります。